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​制作に関わったクリエイターのコメントを紹介します。

2月11日更新 《Creators comments》は届き次第随時公開予定です。

​写真撮影 山里翔太

私は勾玉というミクロな世界に入った。
今回の被写体は直径2cm程もない小さな勾玉たち。どうやったらこの極小の鉱石たちを深い眠りから蘇らせることができるのか。
一つは光源である。勾玉は翡翠でできている為、光が透過する。この性質を最大限に活かすために、光を際立たせるライトボックスを使用した。
もう一つは光を記録する装置。
超高画素デジタルカメラにマクロレンズをつけて撮影した。これは小さなものを大きく写すことができる虫眼鏡のようなものだ。
これによって肉眼で見るより精細に勾玉を記録することが可能になるのである。
 
そのレンズを通して見えたものは、わずか2cmの鉱石に内包されているとは到底思えないようなものだった。
空を浮遊する雲や、エメラルドグリーンに輝く海。
ミクロな空間に閉じ込められた広大な景色を、是非その目で確かめてみて欲しい。

写真撮影 蘇我朋美

正直今回お話をいただいた時、不安だった。自分の手で古の少女と今の少女を対峙させることができるのだろうか。彼女たちの美しい夢見が、私の手によって創り出せるのだろうか。そのためか、いつも以上に力のある作品になったと思う。
私はいつも相手に対して“愛情”を持って撮影を行っている。それは被写体に対しても、自分に対しても、この時に対しても、だ。古から今までの⻑い時間は、生物たちの“愛”によって紡がれてきた。私たちと彼女たちが勾玉によって繋ぐ“愛”がこれからもずっと
続くよう、今この時を写真によって刻んだ。

​映像制作 野々宮健太

映像制作にあたる際、初めに3つの勾玉を見たとき、私はそこに歳、年齢のようなものを感じました。
そこで、今回の題名にある「翠光を纏う時空」に沿い、これらの勾玉を時空そのものの象徴とし、それによって導かれた少女たちという構成で制作しました。現代と古代が入り交じり、時は逆行していきながらも、文字や勾玉は現代の在りようとして進んでいくという反比例的な様を表していくようにしました。古代文字は現代の文字へと変化していき、本来活き活きと鼓動を重ねていた勾玉はその力強さを忘れていくというように、日本にいまだある年功序列の弱さ、弱点をこの勾玉に重ね、しかしながら最終的にその勾玉たちも、会合した少女たちに影響され、年齢による身の丈という社会の枠組みから外れ、鼓動と覚醒を再開しました。彼らの変化と時代を繋ぎとめるように、生き物のような勾玉が監視、あるいは見守るように回転する。「翠光を纏う時空」という題名にある種含みを持たせるために、少女たちに視点を注目させるのではなく、勾玉たちにキャラクター性を持たせるようにこの映像を制作しました。

サウンド制作 中南賢治

この展覧会における人と勾玉とのわずかとも言える出会いの中で、勾玉が物語る神秘さや神々しさ、そして千六百年という悠久の時の流れを、空間を通して伝えることをイメージして制作した。音楽には、「玉響」という言葉の語源ともなった、勾玉が触れ合って生じる微かな音を利用した。

​実際に使用した勾玉

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実際に使用した鈴

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中の玉が角棒のようになっており、アタック感の強い音が鳴る。

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耳に響くような高音に、少し曇りが加わったような音色。

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軽やかで、カラカラとした音色。

ロゴ制作 網治樹音

今回の展示のテーマから、勾玉と光のモチーフを文字の中に組み込んだロゴデザインを行いました。手描きで大まかなデザインを練ったあとにIllustratorで形を整えながらデータに起こしています。
文字、特に漢字は字そのものが意味を持っています。漢字そのものが持つ意味を引き出しつつ、同時にモチーフとも調和させるイメージを意識しながら文字を形にしています。隠されたモチーフを捜しながら、形を楽しんでいただけると幸いです。

グラフィックデザイン 

中野弥恵 野上稜太 谷悟

今回、本展覧会のフライヤーの制作をおこなうにあたり、前回の展覧会である『埴輪の体温』のデザインを踏襲しながらも、勾玉につきまとう「生と死」という概念を表現に落とし込むことを考えた。即ち、表面、裏面のカラーは黄泉の国の闇である黒に対し、中面のカラーを令和に蘇った勾玉が放つ翠光(生命が再生した色)とし、コントラストを極めることにした。
また、表面の言の葉や裏面の勾玉の実測図、そして、表面のロゴからも翠光をイマジネーションできるよう、徹底をはかった。
翠光色の地に展覧会のコンセプトや作品の概要を記し、伝え、届ける行為は、まだ会場に足を運んでいない段階でも大阪府立近つ飛鳥博物館の吹き抜けに飛翔する巨大な勾玉から降り注ぐ淡い翠色の光で充された空間と精神的なレヴェルでシンクロすることを意味し、勾玉の不思議な力を体感できる導入を担えるツールになり得るのではないかと考えたからだ。

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