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大阪芸術大学×大阪府立近つ飛鳥博物館 博学連携事業

アートと博物館の対話/藝術考古学的プラクティスシリーズvol.2

光を呼ぶ鏡 -天と感応するメディア-

2023.1.28.SAT-2.5.SUN 10:00-17:00  1月30日(月)休館

大阪府立近つ飛鳥博物館 近つ飛鳥ギャラリー
 

入場無料

写真・映像作品のモチーフとなっている鏡の実物を鑑賞されたい方は観覧料が必要となります。

・新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、37.5℃以上の発熱がある方、マスクを着用しておられない方はご来場をお控えください。


主催/大阪芸術大学 
共催/大阪府立近つ飛鳥博物館

​協力/河南町教育委員会 大阪芸術大学 工芸学科 金工鋳金研究室
企画制作/大阪芸術大学 芸術計画学科「プロジェクト演習Ⅰ・Ⅱ」(近つ飛鳥プロジェクトチーム)
監修/大阪芸術大学 芸術計画学科 アートプランニング研究室

アートで鏡の本義を問い、古代を生きた人々の意識にシンクロする

 鏡は大陸 (中国・朝鮮) から招来され、祖霊祭祀を執り行うための特別な道具として大切に継承された。 それは徐々に威信財的な価値を強める ことで日本でも倣製鏡が鋳造され、権力者から被支配者に対し下賜されることになった。 鏡は神聖視されるものであるとともに権威の象徴でもあ り、主が死すると古墳に埋葬された。

 鏡は装飾された鏡背面 (裏面)に眼差しが注がれる。 考古学者は図像や文様に宿された世界観、 形態、材料、工法を鑑みてそのバリエーション を整理し、様式を確定させる。 その作業は時代の特色を割り出しながら勢力圏をふまえた地域交流を紐解く重要な仕事である。 その成果を伝える 博物館では裏面を展示することがほとんどであり、表面を見ることは極めて少ないと言わざるを得ない。

 我々はそれと異なる回路で鏡と向き合い、鏡の本義を求めたいと考えた。 鏡の表面は澄み渡り、あらゆるものをそれに移し、映す力はいにしえ の世では不思議であったであろう。 また、 宇宙が生成する光を反射させるその様は強烈なパワーを操るように見え、魅了され、驚嘆し、崇めざる を得なかったのではなかろうか。本展覧会では古代人の想いをアートの力で可視化させたいと思ったため、鏡の表面にフォーカスすることにした。 近つ飛鳥ギャラリーに古墳時代前期の2つの巨大な鏡 (御旅山古墳出土の内行花文鏡/大阪府立近つ飛鳥博物館蔵と大阪芸術大学のキャンパス 内にある東山遺跡の土壌から出土した鏡/河南町教育委員会を約40倍に拡大) の表面が見えるように設置することで、 光の反射が連鎖し、 煌めき合うインスタレーション作品を構想した。 また、令和四年の冬至に制作した鏡を来場者が用いて光を呼び、その成果として生じる現象を表 現空間に取り込むサイトスペシフィックな体感型鑑賞というスタイルにもこだわりたいと考えた。 それはこの場所が天窓から陽光が射し込む吹き 抜け空間であるがゆえに挑めるアプローチであり、鏡によってもたらされた大いなる衝動が感じられると確信したからである。

 本展覧会は偉大な自然に畏怖の念を抱き、 委ねることではじめて成立する姿勢を大切にしたいと考えた。 それは太陽の軌道や流動的な天候が作品 の感受のあり方に大きな影響を与えることを意味する。 各々が天と感応する絶妙なタイミングの訪れを待ち、 探り続ければ古代を生きた人々の意 識にシンクロするような気がするのだ。加えて鏡を根源的に問いながら、イメージの彼方に誘う作品、ワークショップと対峙すれば、鏡に秘めら れた深遠な世界の扉を開くことになるだろう。 あなたが鏡の魂と結ばれ、 それを愉しむ時間が到来することを願ってやまない。

 

キュレーター/谷悟 大阪芸術大学 芸術学部 芸術計画学科 教授

(アートプロデュース研究領域 / アートプランニング研究室)

The Mirror Collecting Lights

--- medium corresponding to heaven

 

Exploring the true meaning of the mirror through art and sharing the consciousness with ancient people

 

   The mirror was brought about from the continent (China and Korea) and was politely succeeded as a special tool to conduct worshipping rituals.

It gradually took on stronger value of dignity and, in Japan, similar mirrors were casted and bestowed from the rulers to the ruled.

The mirror was something sacralized and the symbol of authority, and it was buried in ancient tombs with its owners after they died.

 

   Looks are taken at the decorated backside of the mirror.  Archaeologists, referring to its viewpoints and methods included in it, its forms and its materials, figure out a design, confirm it and make a style.  It’s the important procedure of work to understand regional exchange based on the influential zone, the characteristics of the ages being considered.  Museums in general, trying to show the fruit, exhibit the backside of the mirror, not the surface.

 

We wanted to face the mirror through different approach and seek the true meaning of the mirror.  The surface of the mirror is crystal clear and reflects everything, so it seemed to be very hard for the ancients to accept its power of reflection.

We thought that the way it reflected lights from the universe appeared to manipulate strong power, so people were charmed and ended up admiring and worshipping it.  That’s why, at this exhibition, we decided to focus on the surface of the mirror, because, through the power of art, we wanted to visualize the way ancient people thought.

 

By installing 2 huge mirrors here at Chikatsu Art Gallery (one from this museum, the other from the grave at our campus; enlarged by 40 times) so that you can see its surface, we designed to make installation work of reflecting a chain of lights.  We also wanted to stick to a style of sitespecific hands-on appreciation in which visitors collect lights using the mirror produced in the winter solstice 2022(4th year of Reiwa), as a result, take in the phenomenon caused by that.  We are sure that we can take such an approach because we have an open ceiling space here which can easily collect lights through its skylight window and they can feel the impulsive feeling brought by the mirror.

   

At this exhibition, we wanted to take it as significant to stand in awe of great nature and to be in its hands.  That means that the orbit of the sun and change of weather have a great influence on how we feel about the work.  We think that we can feel the same way as ancient people felt if each of us waits for the best chance of corresponding to heaven to come and continue to search for it. In addition, if you face the work or workshop which invites you beyond your image, seeking the root of the mirror, you will be able to open the door to the profound world.  We wish you to be connected to the soul of the mirror and have a pleasant time of it.

Curator : Satoru Tani, Professor of Art Planning Depertment, Osaka University of Arts

1 光を呼ぶ鏡/天と感応するメディア 

近つ飛鳥ギャラリーに古墳時代前期の2つの巨大な鏡(御旅山古墳出土の内行花文鏡と大阪芸術大学内にある東山遺跡の土壙墓から出土した鏡を約40倍に拡大)の表面が見えるように設置することで光の反射が連鎖し、煌めき合うインスタレーション作品を展示。

また、新たに制作した鏡を来場者が用いて光を呼び、その成果として生じる現象を表現空間に取り込むサイトスペシフィックな体感型作品。

©Photography:山村幸則/Yukinori Yamamoto

(模型/山村幸則) 

2  覚醒する鏡/凛々しさの記憶 

千五百年、土中で埋もれていた鏡は老いながらも凛々しさの記憶を抱きしめ、眠り続ける。アートの力で令和に覚醒した鏡の表情には祖霊への畏愛と皆の暮らしを治める気高き誇りが垣間見られる。本作品は鏡に潜む真実を拓くために撮影されたポートレートである。

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御旅山古墳出土内行花文鏡(表面)、同(裏面)、東山遺跡出土鏡(表面)、同(裏面)

​©Photography:山里翔太/Shota Yamasato 

3 光を授かる刻/鏡の魂、現る

光は宇宙から授かるものであり、鏡はそれを拝受する特別な力を秘めている。鏡の魂は尊き光と化し、先世の魂を呼び覚まし、戯れ、交わる美しき時空を創出させる。近つ飛鳥風土記の丘で撮影されたこの写真はあなたの想像力をかきたて、鏡の物語を紡ぐことを促す。

©Photography:向井萌/Megumi Mukai 

 4 生命体としての鏡/はじめに光ありき

鏡はまるで光合成を行うように光と関わり、生命力を日々、育もうとする。鏡はその光を放つことであらゆるモノ、コトを可視化させ、世界を創造するツールと化す。

光の粒子や波動は森羅万象を包み、溶け合いながら、それらを息づかせ、魅惑的なフォルムやカラーを浮上させる。

 本作品は“はじめに光ありき”というフレーズに導かれた映像詩であり、鏡と光にまつわる問いを際立たせる。考古学×アート×科学の交点で生じる出来事を写真、音響、身体表現、言語等を統合させた映像が語る。

©Video work:野々宮健太/Kenta Nonomiya 

5  原初の鏡/煌めく光のパッサージュ

時代を問わず、人間にとって最も身近な鏡は自然の中にあった。景色を映す水面、陽光を反射する月、風に凪ぐ森の木々、そして、世界を反射する瞳。瞳という自然が息づく《原初の鏡》を通じ、現代と古代の交信を試みるためのモビールが揺らぎ、煌めくパッサージュを創作。

©Photography:向井萌/Megumi Mukai 

6 鏡惑星/地下から旅立ち、宙に舞う

鏡の表面は長い時間の中で経年変化が生じ、複雑な色調を呈した緑青で覆われている。

 その姿は漆黒の空間を浮遊する美しき惑星を連想させる。

円形である鏡のフォルムは宇宙をシンボライズさせたと言うが、大阪府立近つ飛鳥博物館、靑絲亭が蔵する(鏡22枚)が回りながら光を放ち、消えては現れる姿を宇宙の生誕に見立てた映像作品を上映する。

©Video work:野々宮健太/Kenta Nonomiya 

​ワークショップ 令和の鏡/光を透過させ、心の紋様を投影しよう

鏡の紋様は古代を生きた人々にとって様々な意味が込められたものだった。創り手の想いをオリジナルの紋様に宿し、描き、切り取り、光を透過させることで展示空間に<心の紋様>を映し出す。


※実施日時/1月28日(土) 1月29(日) 2月4日(土) 13:00〜16:30(最終受付16:00)

無料

©Photography:向井萌/Megumi Mukai

 

キュレーション/谷 悟(芸術計画学科 教授)

ディレクション/山村 幸則(芸術計画学科 客員教授・美術家)

 

○作品1

企画構想/谷 悟

テクニカルディレクション/山村 幸則

写真/山里 翔太(写真学科卒業生)

鏡鋳造/山村 幸則

鏡鋳造指導/長谷川 政弘 (工芸学科金属工芸コース 教授)

技術協力/田村 佳士(株式会社Rocks代表取締役)

 

○作品2

写真/山里 翔太(写真学科卒業生)

○作品3

写真/向井 萌(芸術計画学科3年)

モデル/古川 亜莉紗(芸術計画学科3年)

○作品4

映像/野々宮 健太(芸術計画学科3年)Xu Jinming 田中 裕貴(芸術計画学科2年)

写真/山里 翔太 向井 萌

パフォーマンス/請谷 遥(芸術計画学科2年) 野田 大賀(芸術計画学科副手)

サウンド/中南 賢治(芸術計画学科卒業生・情報芸術大学院大学メディア表現研究科修士課程修了生)

言語/野々宮 健太 谷 悟

○作品5

写真撮影・作品制作/請谷 遥 赤壁 瞳友 赤木 捷高 中野 凌吾 今西 那梨子 川上 源一郎 横田 建 西銘 幸祐(芸術計画学科2年) 

○作品6

映像/野々宮 健太

写真/山里 翔太

 

○ワークショップ

井上 華那 田中 優多(芸術計画学科3年) 

 

□広報

ホームページ・SNS/秋葉 愛佳 田中 優多(芸術計画学科3年)

赤壁 瞳友 今西 那梨子(芸術計画学科2年)

ポスター・フライヤーデザイン/野上 稜太(芸術計画学科3年) 中野 凌吾(芸術計画学科2年)

ロゴデザイン/野上 稜太

ポスター・フライヤー写真/山里 翔太

フライヤーテキスト/横田 建(芸術計画学科2年)  谷 悟

 

□企画運営

大阪芸術大学 芸術計画学科 「プロジェクト演習Ⅰ」「プロジェクト演習Ⅱ」

近つ飛鳥プロジェクトチーム(芸術計画学科2年 3年)

マネジメント/秋葉 愛佳 殷 麗佳 田中 優多 請谷 遥 中野 凌吾

野田 大賀(芸術計画学科副手) 山村 幸則 谷 悟

博学連携事業コーディネーション/廣瀬 時習(大阪府立近つ飛鳥博物館副館長)東藤 隆浩(大阪府立近つ飛鳥博物館学芸員)

山村 幸則 谷 悟

-展覧会アーカイブ-

2020年開催

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2022年開催

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